第26回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会を担当させていただくに当たり、本学会員の皆様に心より感謝申し上げます。大阪でこの学会を開催するのは平成13年、第19回の大阪医大の竹中教授以来であり、会場も学会をよく知っている同じホテル阪神としました。大阪大学としては、故松永亨教授が17年前の平成3年に第9回の学会を担当しております。また、この第9回の学会が、それまでの研究会から学会へ名称の変更を行った、言い換えれば第1回の学会でありました。そのときの事務局を担当したのが私であり、苦労したことがつい先日のごとく思い出されます。
今回の学会を開催するに当たりメインテーマを「社会とアレルギー」とさせていただきました。喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患の有症率は、医師の診察を受けていない軽症者を含めればおそらく30%は超えていると思います。つまり日本人の約3分の1がアレルギーを持っている。これほどの有症率になれば国民病といっていいほどポピュラーなもので、自然治癒が極めて少ない現状を考えると、疾患を治療するより如何に仲良く付き合っていくべき疾患ともいえるでしょう。社会としてみなで共有していく疾患であり、セルフケアが実際の日常社会においては重要とも考えられます。このような社会をつくるためには、医療関係者、コメディカルだけでなく、広く一般市民にも正しい知識を共有してもらわなければなりません。また日本社会にあったより好ましい生活習慣を知識として知らしめることもわれわれの仕事ではないかと考え、「社会とアレルギー」というテーマを考えました。
特別プログラムとしては、大阪大学あるいは大阪に関連の深い先生方を集めさせていただきました。1日目の教育研修会として大阪大学の杉山治夫教授に「WT1ペプチドを用いた癌免疫療法」というテーマで、また徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の福井裕行教授に「ヒスタミン受容体とアレルギー疾患」をお願いいたしました。2日目の特別講演では現在免疫の分野で最も活躍をされている大阪大学微生物病研究所の審良静男教授に「自然免疫とウイルス感染」の講演をしていただく予定になっております。最終日の2月23日にはコメディカルも興味を持てる、また我々も知る必要があろう食生活にスポットを当ててプログラムを構成しました。教育講演として大阪大学名誉教授、現住友病院院長の松澤佑次先生に「食生活と疾病;メタボリックシンドロームを主に」のお話を、それに続くワークショップとして「健康食品とアレルギー」を行い、現在広く社会に出回っているサプリメント、健康食品などの有効性について議論していただきたいと考えております。
大阪での学会は珍しくありません。しかし大阪は食の都です。おいしいものは限りなくあります。
どうぞ、学会でもアフターコングレスにおいても、「来て良かった、発表して良かったと」いう学会になるように努力していく所存です。
多くの皆様の参加をお持ちしております。
平成19年8月