この度、第30回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会を担当させていただくことになりました。本学会会員の皆様に心より感謝申し上げます。会期は平成24年2月16日(木)−18日(土)の3日間、会場は大津市の琵琶湖ホテルで、学会場からは琵琶湖が一望できます。是非湖畔を散策しながら日頃の疲れを癒していただきたいと思います。
今回の学会は第30回の記念大会となり、記念式典と記念講演も予定しております。私が耳鼻咽喉科医になった1983年に第1回の研究会が発足し、私自身毎年のように参加して多くのことを勉強させていただきました。耳鼻咽喉科関連の全国学会の中でも最も研究志向の高い学会の一つとして、原則一つの会場で、討論の時間を十分に設ける伝統は今回も踏襲したいと考えています。15分の講演時間での特別口演枠も4題設定いたしましたので、是非ご応募をお願いいたします。
今回の学会のテーマは「歴史に学び未来を拓く」といたしました。過去の学会の歴史を振り返りながら、免疫・アレルギー学の未来を考えていただきたい思いと、多忙な臨床の中でも、臨床での疑問を基礎研究につなげて研究成果を臨床に還元する視点を忘れない、研究の原点を見つめ直すこと、さらに、歴史の豊かな大津市での学会との思いからです。
初日の教育講演は、「アレルゲンはなぜアレルゲンになるのか?」という魅力的なテーマで順天堂大学の高井敏朗先生に、「がん細胞による巧妙な免疫回避機構」について慶応大学の工藤千恵先生にお話ししていただきます。いずれも現在第一線で活躍されている新進気鋭の先生方で、興味深いお話が伺えると思います。スポンサードレクチャーはMayo Clinicの紀太博仁先生に「気道粘膜におけるTh2免疫の機序と上皮の役割」について、最近の基礎研究のトピックスを中心にお話しいただき、スポンサードセミナーでは国立病院機構相模原病院の谷口正実先生に「好酸球性副鼻腔炎と気管支喘息−アラキドン酸研究の新しい展開」として、より臨床に近い立場から、好酸球性副鼻腔炎の病態を追求していただきます。
一方で、この学会は専門的すぎてこれから研究を始めるような若い先生方が参加しにくいとのご意見があり、今回は若い先生方にも興味を持っていただけるように、新しい試みとして教育セミナーをいくつか企画しました。手術や外来診療に関するモーニング教育セミナーとして、琉球大学の鈴木幹男先生に「アレルギー性鼻炎の手術療法」、岡山大学の岡野光博先生に「免疫療法の実際」について、これからの臨床にすぐに役立つお話をお願いいたしました。「若い研究者たちに伝えたいこと」というタイトルで研究の考え方や進め方に関する全く新しい教育セミナーも企画いたしました。他にも魅力的な企画を考えておりますので、是非多くの先生方のご参加をお願いいたします。
大津市での全国学会は、故北嶋和智教授が2001年3月に主催された第13回日本喉頭科学会以来11年ぶりになります。最近の温暖化で2月でも大津ではほとんど降雪がありません。学会場の前の大津港からは、湖北の山々を遊覧して鑑賞する雪見船が出港しています。大津市には石山寺や三井寺があり、少し足を延ばせば比叡山延暦寺や彦根城、「お江」ゆかりの安土城址、小谷城址など、豊かな歴史と琵琶湖の自然にはぐくまれた滋賀県を満喫していただきたいと思います。
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