第27回学術総会を担当させていただく岡本です。私は、この学会の前身の研究会の発足当時はまだ大学院生でしたが、この会に参加してこれまで多くのことを学んで参りました。当時に比べて「免疫・アレルギー学」は日進月歩で発展しており、かつその進歩は年々加速しています。この学問の進歩は耳鼻咽喉科免疫・アレルギー学会の発表内容にも大きく寄与してきています。
しかし、本学会もこれからは大きな転機を迎えようとしていると思います。免疫・アレルギー研究の手法は現在では領域を超えて、微生物学のみならず、生理学、生化学、鼻科学、耳科学でも広く用いられるようになり一般化しています。一方で「免疫・アレルギー学」の進歩は、基礎と臨床との隙間を広げて、特に臨床医からは研究と解離しているとの指摘もあります。学問には夢、ロマンがあり、その魅力は何物にも代えられないものと思いますが、国内の臨床医を取り巻く環境の変化も大きく、若い医師の教育、指導のあり方も見直されています。次世代を担う若い医師は臨床でのより高い知識、技量を目指し、社会も強く求めていくようになるのではないでしょうか。目の前の疾患の解決を目指すことにこそ、研究は必要なのですが、もし「知的なゲーム」として捉えられるようになっては耳鼻咽喉科の研究の裾野が広がることは無いと思います。そのためには発想を変えて、耳鼻咽喉科の中での免疫・アレルギー学の方向性を考えるよりも、むしろ免疫・アレルギー学の中での耳鼻咽喉科医のあり方を考えることが我々のこれからの発展につながるのではないか、本学会もそのような視点での運営を目指したいと考えています。その中心の1つはやはり耳鼻咽喉科が扱い、得意とする局所の粘膜の免疫・アレルギーです。学会のパネルディスカッションではいま一度鼻、咽頭、中耳、口腔といった局所の粘膜免疫学とその臨床での応用について十分な討議を行い、今後の粘膜免疫学の発展にいかに我々耳鼻咽喉科医が寄与していけるのかを確認出来ればと思います。国内でこの領域で先進的に活躍されて来られた先生方でパネルディスカッションを組み、粘膜免疫学の父といわれ、上気道にも造詣が深いPL Ogra教授にもパネリストとして参加して戴きます。粘膜免疫学の現状、問題点、将来展開について地に足の着いたホットな討論が行われるよう皆様のご期待に沿えればと考えています。そのほかにも、様々な企画を考えておりますが、学会の学術委員の先生方とご相談しながらブラッシュアップしていく所存です。
2月は多くの地域では「真冬」ですが、千葉市から少し足を伸ばせば、南房総では早春を彩るお花畑や、豊富で新鮮な魚介類を満喫出来ます。木更津の海に伸びるアクアラインやぽっかり浮かんだ海ほたる、言うまでもない東京ディズニーランドも近く、学会終了後も充実した時間を過ごしていただけるものと思います。
皆様の御参加を心よりお待ちしております。