ごあいさつ

 第31回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会を担当させていただくことになり、会員の皆様に感謝申し上げます。会期は平成25年2月7日(木曜日)から9日(土曜日)の3日間です。会場は倉敷駅から徒歩で10分ぐらいの倉敷市芸文館です。会場から倉敷市で最も有名な大原美術館のある美観地区まで徒歩で10分以内に行けます。学問と観光が両立できる位置にあります。
 本学会は、1983年3月に研究会として発足し、1991年3月の9回から学会に昇格しました。研究あるいは専門志向の強い学会で発足時から興味を持っていましたので、9回の学会を恩師松永亨教授がされた時のことを今でもよく覚えています。私にとって今でも最も興味深い学会のひとつです。耳鼻咽喉科学は広範囲であるため、解剖学的部位ごとに学会があり、その部位(縦断的)に関して深く研究が遂行されています。   
 本学会が非常に貴重なのは、耳鼻咽喉科学をアレルギー・免疫学に関して横断的に幅広く研究するという特徴があるからです。境界を越えて横断的に広い分野を学ぶ点で、特に若い研究者にとって有意義な学会と考えます。今回も本学会の特徴である1会場でおこなう伝統に則り、会場運営をさせていただくとともに、前回おこなわれたミニシンポジウムもしたいと思います。このシンポジウムではいま最も治療に難渋している好酸球が関与する疾患を取り上げたいと考えています。この枠では応募演題から学術委員の先生方に5〜6題を選んでもらい、充分な時間を取って講演および討論をしていただきたいと考えています。多数の御応募よろしくお願い申し上げます。
 最近、IL−33が花粉症の発症と非常に関係があり、新たな治療法の開発に役立つ可能性が示唆されています。この知見に関して「アレルギー性鼻炎とIL−33」と題して兵庫医科大学の善本知広先生に教育研修会Tで講演していただきます。また研修会Uではがん治療の最前線で幅広く活躍されている大阪大学の森下竜一先生に「NFkB制御による免疫疾患治療の試み」と題して講演していただきます。両先生ともこの分野ではトップであり、会員の皆様にとって有意義な研修会になると確信しています。スポンサードレクチャーでは日本大学の羅智靖先生に「多重のシステムズの中のマスト細胞」と題して御講演をお願いしています。先生が免疫・アレルギー学の分野で幅広く活躍されていることは、皆様もよく御承知のことと思います。当日は、特にマスト細胞について非常に興味深いお話が聞けると思います。また大阪大学皮膚科教授の片山一朗先生に「花粉症と皮膚のアレルギー」と題して教育講演をしていただきます。花粉症の患者は非常に多く、耳鼻咽喉科を中心に受診され、眼、気管などの症状を多くの患者が訴えます。皮膚病変に関しての訴えもありますが、我々は知識不足で正しく治療および指導ができていないのが現況です。  
 今回講演をしていただき、花粉症に伴う皮膚疾患をどのように取り扱ったらよいかを教えていただきたいと思ってます。
 本学会で、今、我々が治療に難渋している好酸球に関するミニシンポジウムを企画していることはすでに述べましたが、このシンポジウムの前にこの分野で長年すばらしい研究結果を報告され、いろいろな知見をお持ちである自治医科大学の飯野ゆき子先生に問題提示をしていただく基調講演を設けました。司会の福井大学藤枝重治先生とともに好酸球の関与する疾患の病態・治療法などの解明が、これを機会に少しでも前進すればよいと考えています。
 さて会場である倉敷市は江戸中期から約300年間幕府の直轄領で、非常に文化密度の濃い街です。倉敷駅から徒歩10分ほどの美観地区が観光の中心です。ここには昭和5年に設立されたわが国最初の常設美術館である大原美術館があります。画家の児島虎次郎氏が自分で見て、収集した、エルグレコ、モネ、ミレーなどの素晴らしい絵画が所狭しと飾られています。またこの周辺にはいろいろな歴史的建造物も多くあります。この学会は非常に専門性の高い学会です。学会で疲れた頭脳を絵を見て休め、会場でよりホットな討論をしていただけたらと思っています。
 多くの会員の皆様の御参加をお待ちしています。




 
Last Update :2012.8.3
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