ごあいさつ

第29回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
会長: 鈴木 正志 (大分大学医学部耳鼻咽喉科学講座)

 第29回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会を担当させていただくにあたり、本学会員の皆様に心より感謝申し上げます。この学会の前身であります日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー研究会の第4回を、恩師の故茂木五郎教授(旧大分医科大学)が東京(新宿)で1986年に担当させていただいています。当時、私は大学院生2年でありましたが、この研究会で内耳免疫についての発表をさせていただきました。小さな会場でありましたが、質疑応答が活発で答えに窮する恐怖がありつつも、温かい先輩方のご指導と自由闊達な雰囲気が耳鼻咽喉科領域を中心とする免疫アレルギー学の進歩に結びついている大変すばらしい学会と思っています。その学会を実に25年ぶりに私どもの教室で運営させていただくことになり、大変光栄でもあり、また身の引き締まる思いであります。もはや当時を知る医局員は私一人となってしまいましたが、教室員一丸となって本学会が盛会となるよう準備を進めているところであります。
 さて、第1回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー研究会の会長でありました奥田稔先生が会誌1号巻頭言の中で、本学会はこの分野で広く志を同じくする者が集まり演題につき思いきり討論する場でありたい旨、述べておられます。しかし演題数の増加に伴い、そのことがなかなか難しくなっているのも現実であります。そこで今回も昨年の藤枝会長が企画したプログラム形式を踏襲し、シンポジウムやワークショップ等は行わず、会員による一般演題が主役であるとの認識のもと、どんなに小さな仕事であっても独創性のある世界に通じる演題には、可能な限り発表・討論時間を長く取るようにしたいと考えています。また、原因は様々あると思いますが、これまでの医療や医学教育政策が大きく影響したことにより、医育機関や研究機関で働く耳鼻咽喉科医が大幅に減少する中で、黒野祐一理事長も述べていますように、耳鼻咽喉科における重要な分野の一つであるこの領域での、さらに多くの若手研究者の育成が急務であります。そこで今回は優れた演題を発表した35歳以下の筆頭演者を対象として若手研究者奨励賞を設けることと致しました。口演、ポスター発表いずれにても応募できますので、若い先生方には是非ともこの奨励賞に奮ってチャレンジしていただきますようご案内致します。ささやかながら研究に夢が見られる副賞をご用意致します。
 時間には限りがありますので口演数を制限せざるを得ませんが、一方で担当させていただく者にとりましてはできるだけ多くの皆様に参加していただかなくてはなりません。そこで身近に演者と聴衆が話せることが魅力のポスター演題も広く募集致します。ややもすると一題あたりの時間が短いのが難点でしたが、今回は四並列同時進行で行い、発表・討論時間を長めに設定したいと思っています。熱い議論が沸騰することを願っています。
 免疫学での最近の注目株として樹状細胞とNKT細胞があります。教育講演では、これら細胞についての基本的な機能とともに最新の研究内容について解説していいただきます。樹状細胞については理化学研究所免疫アレルギー研究センター生体防御研究チームリーダーの改正恒康先生にお願いしました。核酸を中心とした外因性、内因性リガンドに対する樹状細胞応答を制御する分子機構についてお話しいただけるものと思います。一方NKT細胞については、この細胞の発見者である、同じく理化学研究所免疫アレルギー研究センター長の谷口克先生にお願いしております。NKT細胞の特徴とこれを標的とした種々疾患の治療応用についてお教えいただきたいと思っております。また、スポンサードレクチャーでは国立成育医療研究センター副研究所長であります斎藤博久先生に、アレルギーに関する興味深いお話をしていだくことになっています。
 特別講演は現時点では一つだけ企画しております。これまでは免疫アレルギー分野のお話をしていただくのが一般的であったと思いますが、今回は京都産業大学益川熟塾頭の益川敏英先生にご講演をお願い申し上げましたところ、快くお引き受けいただきました。ご存知のように益川先生は素粒子の理論で先駆的な役割を果たしたことが評価され、2008年のノーベル物理学賞を受賞されました。論文や学会発表での研究成果からだけでは読み取れない研究者にとって大切なことを、ある意味世界の頂点に到達した他の分野の先生にお聞きするのも有意義ではないかと考えました。今回は議論が白熱する一般演題の合間に一度頭を真っ白にしてお聞きいただくと、何か新しい発見や閃き、あるいは参考になるものが大いにあるものと期待しています。
 会期は真冬ですが、大分は晴れる日が多く空気も澄み、この時期高崎山、鶴見岳、由布岳、別府の街並を背景とした最高に美しい青い別府湾がみられることと思います。その別府や由布院だけではなく、実は会場のある大分市にもたくさんの温泉があります。またこの時期、とら河豚が最も美味しくなる季節でもありますし、他にも関あじ、関さば、城下かれい、鳥天等の大分が誇る食材がお待ちしております。学会二日目の金曜日は祭日です。どうぞ、万障お繰り合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。



 
 Last Update :2010.8.5
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